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ペットロス症候群を知っておこう

愛猫との悲しい別れは誰にもやってくる

 ペットロス症候群とは、愛猫を失った悲しみや喪失感によって、精神的・身体的不調に陥ることです。愛猫を失った直後の強い悲しみだけでなく、人によっては不眠、疲労感、食欲不振、過食、胃の痛み、息苦しさなど、さまざまな症状が現れます。

   

 ご近所との付き合いが深くて、家族が三世帯で住むのが普通だった時代には、ペットロスという言葉はありませんでした。比較的最近になって一種の社会現象となったこの症状は、現代の日本人が犬や猫などのペットに対してより深い愛情を注ぎ、家族やパートナーとして付き合うようになったためと考えられています。近年、ペットロスによって精神科に通うようになるケースも少なくありません。

 猫の平均寿命は種類や環境によっても違いますが、10歳~16歳くらいといわれています。つまり、高齢者以外のほとんどの飼い主が愛猫に先立たれるわけです。重いか軽いかは別にして、誰もが将来、ペットロス症候群になる可能性を持っているのです。そこで、猫と暮らす前に、「必ず愛猫の死に直面する」ということを覚悟しておくことが大事です。

 「猫に先立たれたくらいで、そこまで落ち込むなんておかしい…」などと思わないでください。金魚やハムスターとは違うのです。核家族化し、直接的な人間関係の疎遠になった現代社会では、犬や猫は確実に家族の一員に近い関係になります。数年間一緒に暮らせば、かわいらしさを超えてかけがえのない存在になるでしょう。その時、ペット依存症になっていないかどうかが鍵を握ります。いとしい存在を失った悲しみや喪失感から、いかに早く立ち直れるか。そして、新しい明日に向って歩めるのか。心のしなやかさが求められます。

悲しみや落ち込みにおそわれたら…

 愛猫と死別して悲しみや落ち込みがひどくなったら、どうしたらよいのでしょうか。周囲の人の中には、「たかが猫が死んだくらいで、いつまでも落ち込んでいるの!?」などと、心ない言葉を浴びせる人もいるかもしれません。そのため、よけい症状が重くなってしまうこともあります。

 でも、先に述べたように、ペットロス症候群は誰にもありうる普通のことですから、決して自分を変だとか、ダメな人間だとか責めないでください。悲しみの強さや、気持ちの整理ができるまでの時間には個人差があり、いつかは必ず立ち直れるものですから。

 気持ちの整理をつけるにはコツがあります。それは「区切り」を形で表すことです。

 いちばん明確な区切りは、愛猫の遺体を火葬して供養することでしょう。遺骨はペットの墓を作って納めるもよし。骨壷に保管して手元におくのもよし。ただし、あまり商業主義に踊らされないようにしてください。自分自身の愛猫への気持ちが大切であって、形式はどんなものでもよいのです。お金をかけたからといって猫が喜ぶはずもなく、供養する心が離れていきます。

 次に、一人で悲しまないことも、気持ちを整理する上で大切なことです。例えば、その時の気持ちを日記や手紙に書くとか、気の置けない友人に話す、アルバムをまとめる、エッセイを書くなどという方法があります。何らかの形で人に気持ちを伝えたり、見える形に表現したりすることが、心に区切りをつけ、悲しみを和らげてくれます。ペットロスを経験した人たちの集まりもあるようですから、そうしたところに顔を出してみるのもよいかもしれません。

 悲しみの癒し方は人それぞれです。周囲の人は、あまり具体的なアドバイスなどせず、話をじっくり聞いてあげて、そっと見守る態度がよいでしょう。悲しみは理屈ではありませんから、説教めいた慰めの言葉はかえって心を傷つけることにもなります。

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