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猫と犬とカラス―頭が良いのは①

   まずはカラスの頭のよさから   脳の重さと脳化指数 
   猫はなぜ芸を覚えないか    (次ぺージ 頭がよいのは②前頭葉の発達
 

 ヒトやチンパンジー、サルなどの霊長類以外で、頭の良いのはどんな動物か、ということがよく話題になります。何を基準に頭がよいと判断するのかによって変わってきますが、犬、猫、イルカ、クジラ、ゾウ、カラス、ハト、タカ、フクロウ…などが、頭がよい動物として挙げられることが多いようです。この中で、芸を覚える犬、イルカ、ゾウは、誰もが頭がよいと納得しているようですが、芸を覚えない(覚えようとしない)猫は、あまり頭がよいと思っている方が多くないようです。

まずはカラスの頭のよさから

 さて、猫の話に入る前に、同じように芸を覚えない、カラスの頭のよさについて触れておきます。鳥類は哺乳類より進化の面で一ランク低く見られがちですが、どちらも爬虫類から進化した温血動物だという意味で対等です。カラスの頭のよさを示すものとして、木の実を国道にばらまき、車にひかせてそれを拾うカラスたちが観察されています。また、別の地域では、高いところから木の実を落として割るカラスも報告されています。

 また、線路に石を置いていたずらをするカラスも、かつて話題になったことがあります。この場合は、エサを隠す習性のあるカラスが、線路脇に隠したエサの場所を示す目印だということが、辛抱強い観察を続ける人たちによって発見され、「いたずらの謎」に終止符が打たれました。

 このようにカラスは、身の回りのものを道具として利用する創造的な脳を持っていたのです。かつて、人間以外の動物は道具を使わないのだとされてきました。しかし、サルたちが道具を使うのを見て、今度は、道具を「作る能力」があるのは人間だけだとして、再びヒト以外の動物との線引きをはかってきました(それもチンパンジーによって覆されていますが…)。でも、上記のカラスたちは、カラス全般の習性ではなく、その環境に合わせた新しい工夫によって、人間の作った道具を別の目的に利用するようになったのです。それを「創造的」といわなくて、何というのでしょうか。そういえば、カラスの作る廃品回収の巣も見事なものです。

脳の重さと脳化指数

 かつて、動物の頭の良さを示すバロメータとして、脳の重さが取りざたされた時代がありました。しかし、クジラなど人間の脳よりも大きな脳を持った動物が分かるにつれて、今度は「体重当たりの脳の重さの比率」が新しい目安に変わりました。現在では、その他の要素も加味した上で、脳化指数というものが作られています。

 犬(ビーグル犬)、猫、カラス(ハシブトカラス)の脳の重さはそれぞれ、75グラム、30~40グラム、10グラムですから、脳の重さでは犬、猫、カラスの順にかなり差があることが分かります。しかし、体重はそれぞれ10キロ、4キロ、0.6キロですから、単純に脳の重さを体重で割ってみると、犬、猫、カラスはそれぞれ0.75%、0.75~1%、1.54%で3者の順位が逆になります。

 では、脳化指数とやらで比べるとどうなるでしょうか。「猫のなるほど不思議学」(BLUE BACKS)によると、犬(ビーグル犬)、猫、カラス(ハシブトカラス)の指数は0.14、0.15、0.16と順位は変わらないものの、ほとんど同程度と見ることができます。犬派の方には残念な結果かもしれませんが、カラスが犬猫と変わらないかそれ以上という点を除けば、納得できる数字ではないでしょうか。

閑話休題①

猫はなぜ芸を覚えないか

 なお、よく「芸ができる動物は頭が良い」と言われますが、芸をしないからといってそれらの動物よりも頭が劣っていることにはなりません。カラスはそもそも人に慣れませんから、芸どころではありません。それに人をバカにしている節もあります。飼っても人のいうことを聞くはずがありません。

 また、猫は自立した性格のため、芸を覚えようとしません。エサで釣ろうとしても、犬のようにあれば皆食べてしまう習性はなく、残しておいて後で食べる習性があるので無理です。遊んであげることも猫は喜びますが、気まぐれで、しかも自分のほうから遊びを仕掛けるのを好みますから、やはり芸をしたご褒美とはなりません。つまり、猫には芸を覚えるメリットが全くないのです。その上、ヒトのご機嫌をとる性質のない動物ですから、稀に一つや二つ簡単な芸をやってみせたとしても、いつもやってくれるわけではありません。

 芸というなら、馬や豚、一部の小鳥なども教えれば覚えますが、それらの動物が猫やカラスより頭がよいとはとうてい思えません。
 【つづく】 猫と犬とカラス―頭が良いのは②(前頭葉の発達)

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