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猫の五感―聴覚・嗅覚・視覚など

高感度の超音波アンテナ(耳)、嗅ぎ分け能力(鼻)、暗視装置(目)…

 

 猫の五感(視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚)は人間とどう違うのでしょうか? 人間の感覚器官は視覚にその能力や依存度が偏っていますが、猫は聴覚が極めて敏感です。また、犬ほどではありませんが、嗅覚も桁違いに発達しています。人間と猫では、同じ環境にいながら感覚的な世界が異なるといってもよいでしょう。次に、猫の五感について順番に見ていきましょう。

聴覚(耳)

 猫は単に「耳がいい」だけではなく、人には聞こえない高音がよく聞こえます。人が聞き取れる音の周波数が20~2万ヘルツなのに対して、猫は30~6万ヘルツ。超音波を聞き取っているのです。その分、人が聞き取れる低音域が苦手のようです。
 また、猫は音源の方向や距離をも正確に知る能力があります。左右の耳を別々に動かして音源をキャッチします。だから、ネズミなどのいる場所も、目で見なくても方向と距離を把握することができるのです。

嗅覚(鼻)

 臭いは鼻の奥の嗅野で嗅ぎますが、猫にはこの細胞が人の2倍あります。驚異的なのは単に「嗅ぎ取る」能力ではなく、「嗅ぎ分ける」能力です。犬の嗅覚と比べるとかなり劣りますが、それでも嗅ぎ分け能力は人間の数万倍から数十万倍ともいわれます。
 だから猫は、家族や家族の臭いのついたものを嗅ぎ分けることができます。家の中の物や家族に体をこすりつけ、自分の臭いをつけて安心感を得るのも、そうした嗅ぎ分け能力があるからこその習性です。
 また、猫は口でも臭いを感じ取ることができます。それは口の中にヤコブソン器官というものを持っているからで、そこでフェロモンやマタタビなどの臭いを感じ取ります。

視覚(目)

 誰でもご存知のように、猫は暗いところでもよく目が見えます。でも、視力は人間ほどよくはありません。特に近くのものはピントが合わせづらく、2mから6mのものが一番よく見えます。この範囲が狩りのターゲットとなるエリアなのですね。
 猫が暗闇でもよく見えるのは、網膜に光を感じる細胞が人間よりたくさんあり、さらに網膜の後ろにあるタペタムという反射鏡を利用して、光をもう一度網膜に集めるからです。暗闇で猫の目が光るのはこのタペタムのせいです。これによって猫は、人間の6分の1の光でものを見ることができます。
 猫の動体視力には恐るべきものがありますが、静止したものを見分けるのは得意ではありません。そのため、近くにある動かないものはなかなか見つけられなかったりします。
 色の判別も猫は苦手です。昔は犬と共に白黒しか見えないと考えられていましたが、青と緑は識別できることが分かってきました。でも、赤は識別できないようです。三原色の世界にいる人間に対して、猫の世界は「二原色」。猫には色の世界がどう見えているのか、想像できますか?

味覚(舌)

 猫は食べ物を味覚よりも臭いで判断するため、味覚はあまり発達していません。人間同様に味を見分ける味蕾はありますが、塩辛さや苦味・酸味などは分かる程度(?)で、甘みはよくわからないといわれています。しかし、酸味には敏感で、これは生肉を食べるために発達したものでしょう。
 なお、味覚とは関係ありませんが、猫の舌には乳頭という小さな突起物がついていて、紙やすりのようにざらざらしています。乳頭突起はグルーミングの際にブラシの役割を果たすほか、肉を骨からそぎ落とすときにも使われます。また、水を飲むときには舌はスプーンの役割を果たすなど、多目的な用途を持っています。

触覚(ヒゲ)

 猫は全身が毛で覆われているため、触覚による情報収集は感覚毛といわれる高性能測定器で行なわれます。感覚毛は口の周囲や目の上、あご、前足の飾毛にあります。
 その中でも特に重要な役割を果たしているのが、あの立派なヒゲです。ヒゲは伊達についているのではなく、まさに情報収集アンテナなのです。根元には神経が集中しており、わずかに触れただけでも敏感に感じ取ります。また、猫のヒゲは気圧や気流の変化も感じ取りますから、直接触れなくてもレーダーのように障害物が分かるのです。
 暗くて狭いところを自在かつ俊敏に動き回れるのは、実にこの立派なヒゲのおかげだといってよいでしょう。ヒゲを切られると、猫は精神的におかしくなってしまいます。

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