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猫の体のしくみ―抜群の身体能力

 

 猫は肉食動物としてはかなり小柄ですが、あのすばしこいねずみを驚異的な身体能力で捕獲する名ハンターです。走り出したら瞬時に最高スピードに達するダッシュ力。急に方向転換したりストップしたりできる敏しょう性。高くて狭いところでも悠然と行動する平衡感覚。まるで軟体動物のような体の柔軟性。

 人間から見たらどれも超能力としか思えない、抜群の身体能力の秘密はどこにあるのでしょうか? まずは優秀なハンターとして欠かせない歯、爪、肉球。そして次に、首、背中、前足、後足、尻尾、毛、三半規管などに分けて、体の各部分の特長を紹介していきます。

 猫の歯は狩猟動物としての特徴をすべて備えています。まず、鋭く生えた上下2本ずつの牙(犬歯)で獲物の首を咬んで、息の根を止めます。次に先のとがった裂肉歯という臼歯で肉を食いちぎります。猫は咀嚼しないので、咬み切った肉はそのまま飲み込みます。長い犬歯は上下がぶつからないように口の中に納まっており、根元はあごの骨の中にしっかり固定されて、その周囲を発達した筋肉が包んでいます。

 猫の爪は前足が5本ずつ、後ろ足が4本ずつと、数が異なっています。狩猟の際に強力な武器になるこの鋭い爪は、普段は磨り減らないように鞘の中に隠されています。
 前足の爪は攻撃のときに獲物をがっちり押さえられるよう、大きくカーブしています。木の枝などにぶら下がるときもこの爪をうまく利用します。また、後足の爪のカーブは緩やかで、がっちりとしています。これは走り出すときや、着地のときに体重を支えるときに役立ちます。仰向けになって防御するときは、前足と共に後足の爪も繰り出します。

肉球

 猫の足の裏にはやわらかではりのある厚い肉球があります。この肉球には衝撃を吸収する働きがあり、足音を立てずにそっと獲物に近づくのに役立っています。犬のように持久力のない猫は、抜き足差し足で獲物に近づいた後、一瞬のダッシュ力でしとめなければならず、やわらかな肉球は猫の生命線なのです。
 なお、猫は緊張したり興奮したりすると、肉球に汗をかくそうです。人間とは感情的にかなり遠いと思われる猫ですが、「手に汗を握る」という点ではあまり変わりないのですね。

 猫の首は伸縮自在で、どんな姿勢も取れるようになっています。このため、頭部と首の後ろ以外のあらゆる体の部位でもなめまわすことができます。また、猫の首の皮膚は厚く、攻撃を受けやすい部分なので苦痛を感じないように強くできています。母猫が赤ちゃん猫を運ぶときに、あの鋭い歯で首をくわえて移動するのも、納得できますね。

背中

 猫の体が異常と思えるほど柔らかいのは、脊椎がどの方向にも曲がるためと、それに伴って内臓が自由に移動できるからです。皮膚がたるんでいて伸び縮みするのも、柔軟性に一役買っています。

前足

 前足は後足より短いが、大きく湾曲した鋭い爪を持ち、攻撃の際に威力を発揮します。走りながら方向を変えるのも、後足ではなく、前足の役割となっています。また、高い所から着地した際に衝撃を和らげる機能を持っています。

後足

 猫の優れたダッシュ力やジャンプ力は、前足より長くて、強い筋肉を持ったこの後足が生み出すものです。しなやかな関節を存分に生かして、瞬時に最高速度に達する超短距離走者の姿にはほれぼれしますね。

尻尾

 猫には尻尾の長い種と短い種がいるが、短いから猫としての能力が劣っているということはなさそうです。一説にはバランス感覚に役立っているといわれますが、はっきりとはしません。むしろ、尻尾は感情表現に重要な役割を果たしているというほうが有力ですが、もともと単独行動を基本とする猫は、そもそも感情表現をあまり必要としない動物ではあります。

 全身を覆っている動物の毛は、一般に寒さから身を守ると共に、敵の攻撃をかわす役割があります。猫には汗腺がないので、舌でなめて毛を湿らせ、体温を調節します。

三半規管と反射神経

 猫が高い所から落ちたとき、うまく体をよじって体勢を整え、足と肉球で衝撃を吸収しながらうまく着地できるのは、他の哺乳類に比べて優れた三半規管と反射神経を持っているからです。また、体を回転させながら、目で自分の位置や姿勢をしっかりと把握できる動体視力があることも、猫のアクロバットを可能にしています。

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