猫と暮らしたい基礎知識生活環境としつけ問題行動と危険健康管理と病気猫の不思議愛猫エッセイ写真

子猫の舌はぜいたくになる

 昔、私の生家では猫まんまを飼い猫に与えていた。当時、田舎には家の中にネズミがたくさんいたから、あくまで主食はネズミであるが…。

 冷や飯に味噌汁をかけ、ダシを取った煮干を載せるだけだから手間はかからない。この猫まんまをおいしそうに食べていた。

 さて、JINである。炭水化物を摂取する必要のない猫にとって、猫まんまは栄養的に価値がないことは知っていたが、たまには多様な味を経験させるのもいいだろうと思って出してみた。しかし、現代の都会猫は見向きもしない。そこで市販のドライフードを混ぜてみたが、見事にご飯だけ残された。

 ウェットフードが嫌いだというわけではなさそうだ。ドライとウェットをミックスして与えると、ドライフードだけの時よりもJINは喜ぶ。かき混ぜている間から歓声をあげ、後ろを振り向きながら食器を置いてある場所に先導するのである。こんなに喜ばれては、時々はおいしいものをあげないわけにはいかない。

 市販のキャットフードは、猫に多い下部尿路の病気予防に配慮したもの以外は、さほど栄養価に差があるように見えないので、やはり選択の基準は価格が重要なポイントになる。猫の味覚はそう大したことはないだろうが、ぜいたくな“グルメ猫”にだけはしまいと思った。

 とはいえ、家族が何らかの記念日でごちそうを食べる時は、JINにも少し高めのウェットフードを あげた。家族の一員という意味を込めて…。ドライフードも「お徳用」ではなく、少し高めのフードだ。気のせいか、いつもよりも喜んでいるように見えた。そうこうしているうちに、JINの舌がだんだん肥えていくことに、私たち家族は気づかなかった。

JIN写真-満1歳2カ月


「猫と窓」

猫と窓は切っても切れない縁のようだ。完全室内飼育でも、外の風には当たりたい。それに猫を刺激する鳥や虫もいる。気まぐれな猫でも、窓は飽きないのだ。

「シュレッダー」

多くの猫ちゃんがそうであるように、JINも飼い主の仕事場が好きである。デスクの横に置いたシュレッダーの上にお行儀よく乗って、何が面白いのか私のたたくキーボードを眺めている。

しかし、すぐに飽きるので、今度はパソコンの前を堂々と横切って、デスクの上で居心地の良い場所を探しまわる。実に迷惑だが、そばにいたいという気持ちは嬉しい。

 ある時、JINの旺盛な食欲が急に衰えた。顔はやせていたがお腹周りが明らかに肥満だったので、ちょうどよいと思っていたが、実は別の問題があった。元の「お徳用ドライフード」をまずいと感じるようになっていたのだ。よほど空腹じゃない限り、食が進まないようなのである。試しに1ランク上の価格帯のフードを出すと、喜んであっという間に平らげてしまった。

 こうなると、たまたますぐ上の価格帯の別のメーカーのフードが美味だったのか、それとも値段が高いものほどおいしいのか、気になってくるではないか。試してみた結果は…?

 お徳用より2ランク上のフードを半分混ぜてやると、JINはさらに喜んだ。元のフードに戻すと、なにやら不満げである。そして予想通り、値段の高いドライフードのみを混合せずにあげた時、JINの喜びは頂点に達した。もともと標準よりも高い声で鳴くわが愛猫は、ひときわ高い鈴のような音色で歓声を上げるのだ。

 この声を聞いてしまったら、もう引き返すわけにはいかない。こいつめ。これ以上ぜいたくはさせないぞ! と誓う、貧乏飼い主であった。

  NEXT  TOP  HOME