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猫という名の忍者/かくれんぼと鬼ごっこ

まるでテレポーテーション

 猫の足には肉球があって、歩く音を吸収する仕組みになっている。猫が抜き足差し足で獲物に近づく時は、人間よりはるかに聴力の優れたネズミでさえ気がつかないのだ。まさに忍者そのもの。それもかつて実在した忍者ではなく、小説や映画などに出てくる想像上の忍者である。

 しかし、我が愛猫が「深夜の大運動会」を一人で繰り広げる時などは、マンションのじゅうたんの上でもけっこう騒々しい。ダッシュ時のパワー全開の足音、方向転換する時の爪の擦れる音、そして急ブレーキの音。だから、猫が走ったら音が聞こえるものだと思っていた。 

 ところが、JINは時折、音もなく離れたところに移動していることがよくあった。「ガサッと音がしたな」と思ってそちらを振り返ると、もうJINはその周辺にいない。家具や荷物の隙間などを探してもいないので名前を呼んでみるが、何の反応もないのだ。そこで部屋を隅々までくまなく探すと、反対側の物陰に隠れて、こちらの様子をじっと見ている。手を伸ばし、頭や首筋をなでてやると、見た目は無表情だが満足しているのがよくわかる。

 これはJINが編み出したかくれんぼ遊びで、離れてまた別のほうを見ていると、再び飛び出して別の物陰に隠れる。時には背後から走ってきて、ふくらはぎやももをポンと叩いてから逃げることもある。かくれんぼと鬼ごっこの併用である。追いかけたり、探したりを数回繰り返してやると、JINはすっかり満足して、手を洗いに行き、どちらが「ついで」かわからないが、その水を飲むのである。だから手洗い用の水は、常に取り換えられた状態にしておかなければならない。

 それにしても、音もなく俊足で離れた場所に移動する猫の能力は驚異的だ。「テレポーテーションではないか」と思わせる瞬間移動能力は、芸術的ですらある。蛇足かもしれないが、猫派の人たちは猫の立ち居振る舞いを含めたこの芸術性を愛するのだ。

JIN写真-約2歳半


「置物」

猫の定番ポーズだが、絶妙の位置で「置物」になってくれることがある。窓から差し込む光と、右上に飾ってあるポスターとのバランスが気に入ったので、カメラを取り出してパチリ。撮り終わってもJINはしばらくじっとしていた。

「おじゃま虫」

寒い季節は、今はないブラウン管テレビの上がJINのお気に入りの場所だった。時々、足が長いことをアピールするかのように、画面をふさぐこともあった。足をひっこめさせても、またすぐに戻す。いたちごっこの始まりである。

「上目づかい」

目の大きな若い女性の上目づかいは魅力的だが、オス猫のJINも例外ではない。この時は我が娘の目をじっと見つめていた。たちまち娘は悩殺された。
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