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引っ越しの際中の迷子騒動

 マンション住まいの我が家も、とうとう一戸建てに住むことになった。違反と知りつつこっそり猫を飼うのはあまり気分がよくない。…というのは表向きの理由で、もちろん、あれやこれや他の理由もある。それに、戸建てに移ってもJINの完全室内飼いの方針は変わらない。

 引っ越しの準備は想像以上に難航した。子どもが生まれてからの引っ越しはこれまで3回経験しており、少し甘く見ていたのかもしれない。これまでの倍の時間を準備期間に充てたにもかかわらず、引っ越しの朝、まだ段ボール箱20個以上はあると思われる台所用品や様々なガラクタが散乱している。

愛猫にとって恐怖の半日

 そして、ついに引っ越し業者がやってきた。若い女性のリーダーと共に数人の男たちが玄関から入ってきて、床や壁に養生をするための作業を始める。するとJINがおびえて、猛ダッシュで廊下を駆け抜けた。逃げた先は娘の部屋のベッドの下らしい。震度3以上の地震が来ると急いで逃げ込む場所である。

 荷づくりに追われていた私たち家族は、その後のJINの行方にまで注意を払うことを忘れていた。気がついたのは「JINが命」の娘だった。「私のベッドの下にJINがいない!」

 家具や段ボールを外に出す人たちと交錯しながら、娘と母親は必死でJINを探す。真っ先にもう2つのベッドの下を見たがいない。クローゼットは? 押し入れは? 空の段ボール箱は? 入り込むのが不可能と思われる家具のすき間まで調べたが、JINの習性を知り尽くしているはずなのに見つからないのだ。

 外に逃げたんだ! そう思うと居ても立ってもいられない。娘は7階から1階まで、8か所もあるマンションの外階段を探し回った。母親はといえば、隣の奥さんや通りがかった人に、尻尾がキジトラの白い猫を見なかったかを尋ね回る。こうなったら「ペット禁止」などということは関係ない。それに、どうせ引っ越していくんだ…と思ったかどうかは知らないが、ついに管理人室まで行ってしまった。

 パニックに陥った娘は、すでに最悪の事態を想定していた。マンション前の道路の交通量は多い。外に出たことのないJINは車にひかれてしまうんだ。それが大丈夫だったとしても、だれかにつかまって保健所で薬殺される恐れがある。保健所はまぬがれたとしても、温室育ちのJINは野良猫では生きていけない。エサにありつけず衰弱死してしまう…。

 とうとう娘は、「JINが見つかるまで引っ越しはしない。ここに残る」などと言い出した。私たちはもう一度、引っ越し業者にJINを見なかったかどうか聞いてみた。確かに白い猫が部屋から部屋へ横切るのは見たという。すでに荷物は、ベッドを始め数少ない家具を残すまでになっていた。念のため、もう一度3つのベッドの下を探してみると、何といないはずだった、別の部屋のベッドの下にうずくまっているではないか。私たちは、JINをもう逃げないように抱きしめながら喜び合った。

 こうして我が愛猫は無事、家族3人と車で新居に行くことができたのだった。しかし、すべての荷物を新居に運び終え、家具の配置が終わった後でも、JINはキャリーケースから出てこなかった。少なくとも9時間以上は、食事もしなければトイレにも行っていない。食欲もなく、普段のJINとちょっと違うことは一目で分かった。よほどの恐怖だったらしい。ごめんね、JIN。

JIN写真-満4歳(マンションでの最後の写真)


いつまでもつぶらな瞳で

 猫の平均寿命は12年くらいと言われるが、すると満4歳を過ぎたJINは人間ならもう「アラサー」。このつぶらな瞳はいつまで続くのか…? 
 けがれのないニューハーフだから、ずっとだいじょうぶだよネ。

ホットカーペット

 寒くなると猫はこたつならぬホットカーペットが大好き。特にスポンジ座布団の下は暖かさが溜まっているので、その下に器用に滑り込む。
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